端の上縁(はじのうわべり)

誰も知らない世界の端の縁でゲームの話

ゼノブレイドの話(後編)

Wiiオリジナル版の発売から14年。おめでとうございます。

数字としてはちょっと半端ですがそれはそれとしての記念日です。

 

今回は長くなりすぎない程度に前回の続きをば。

 

ざっくりとまとめた『ゼノブレイド』の魅力について。

 

・物語の中心となるテーマとバトルシステムが見事に融合している

未来に起こる出来事を視る、望まない未来を変えるために行動する。

創作の主題として決して目新しいものではありませんが

プレイヤーが受動的に観るだけのストーリーで終わってしまうのではなく

バトルシステムやちょっとしたアイテム収集にまでリンクさせることで

ゲーム全体として非常に洗練された印象をこちらに与えてくれます。

システムへの理解が深まるほど戦闘全体を掌握する気持ちよさが味わえるのも◎。

 

・90年代王道ジャパニメーションを彷彿とさせる演出の数々がとにかく熱い

個人的な闘いがやがて世界の根幹に関わる大きな物語に移り変わってゆく。

人vs機械だと思っていたらそう単純なものではなかった。

どんでん返しがあって終盤だと思ったらもう一度どんでん返しがあった。

様々な作品からのインスパイアが読み取れるストーリー。

どれが何のとは言いませんが、ロボットアニメだったりSF作品だったり。

さらに、コンテの段階からこだわって描かれたカットシーンの数々は

まるで少年漫画原作のアニメのようにテンポよく展開していきます。

RPGにおけるムービー、かくあるべし。神は細部に宿る。

観ていて苦痛にならないイベントはちゃんとご褒美になるんだぞと教えてくれます。

パーティメンバー全員が嫌われないキャラクターを目指したというだけあって

すべての仲間に見せ場がありバランスを取り合っているのも印象深いですね。

ほんの一言の台詞をとっても洗練されているのもマジでいいんですよ。

 

・広大で表情豊かな非現実的フィールド群が後の国産RPGに大きな影響を与えた

現実の自然では到底あり得ない風景がこの世界の日常として広がる『ゼノブレイド』。

完全新規タイトルとして、そのセールスはスマッシュヒットといったところながら

後の3DタイプのRPGづくりに影響を与えたことは間違いないかと思われます。

この作品以降、コンセプトアートがゼノブレイドっぽいタイトル増えましたよね。

巨神脚のトゲというか山というかそういうつくりの岩のようなアレみたいなのに

寄せているような寄せていないような雰囲気の似た絵をよく見るようになりました。

RPGファンの求める広大で自由な美しいフィールドデザイン像」のようなものとして

創り手の方々の中に何かを残したんじゃないかなと。個人的にはとてもありがたい。

 

・フィールド曲もバトル曲もイベント曲もどれもこれも名曲しかない

有志投票の某ゲーム音楽ランキングでも上位常連な名曲の数々。

曲数自体も多いのですが、要所要所で印象的な曲を繰り返し流してくれるので

ゲームを進めていくごとに自然と耳が覚えていってくれる素晴らしい設計。

個人的に印象に残っているのは「プロローグB」という曲。

本来は物悲しさと決意のイメージが聞き取れるメインテーマを

静かに燃える炎のように熱くアレンジされたこの曲に興奮したのはゲーム終盤。

窮地に立たされる仲間たち。絶望の縁からの主人公復活。

お膳立てからカメラ演出まですべてが綿密に計算された熱すぎる展開に

こんなかっこいい曲を流してくれるなんてと興奮したものでした。

しかし、もっと興奮したのはそれからしばらくの後。

その曲がゲーム冒頭のタイトルロゴ登場までの場面で使われていたと知った時でした。

何も意識せずにゲームを遊び始めても、心に残る一曲との出逢いがきっとある。

ゼノブレイド』はそんな体験を提供してくれるんですよね。

 

・懐の深いゲーム設計とボリュームがエンジョイ勢にもやり込み勢にも応えてくれる

主人公キャラだけを操作してひたすらメインストーリーを追ってもよし。

仲間たちの役割や特性を把握して自在なバトルを楽しんでもよし。

サブクエストをつぶさにこなしてNPC同士の関係性まで知見を深めるもよし。

突き詰めた装備や装飾品で強敵を瞬殺して回ってもよし。

どんなプレイスタイルで向き合おうとも必ず応えてくれるのが『ゼノブレイド』。

レベル差による命中率補正が強すぎるきらいはありますが

そんな中でもやり込めば低レベルクリアも目指せるというからまたすごい。

リアルタイムバトルの入門として誰にでもおすすめできる懐の深さがあります。

 

という感じで、本当はスクショ貼りまくっていつまでも語りたいくらいですが

それじゃ終わらないし毎年そんな調子でやるのもきついのでこんなもんで。

この先、どれだけの時間が経ってどれほど多くのゲームに出逢おうとも

ゼノブレイド』はマイ・ベストであり続けるんじゃないかなと思っています。