端の上縁(はじのうわべり)

誰も知らない世界の端の縁でゲームの話

ドラゴンズドグマの話(後編)

続きです。個人的には大いに楽しめた『ドラゴンズドグマ2(以下2)』と

今現在どっぷりハマっている『ドラゴンズドグマ:ダークアリズン(以下DA)』を

色々比べながら感想をぶっちゃけてみたいというお話。

当日には間に合わなかったけど、おめでとうございます。

12年かぁ…経ったなぁ…

 

さて、引っ張っても仕方がないのでどんどんいきたいと思います。

前提として両タイトルのプレイ状況はこのようになります。

 

『2』:

・1周目クリアまでに180時間以上をかけてじっくり探索した

・不満という不満は持っていないけれど賛否両論なのも頷ける

・何かと引き合いに出される『DA』との差が気になった

 

『DA』:

・気になったので『ドラゴンズドグマ(以下無印)』を遊んで以来12年ぶりに始めた

・勅命クエスト後半の段階で既に110時間以上費やしている

・攻略情報は初めから全解禁で育成にもこだわりながら進めている

 

以下『2』に対してよく寄せられがちな批判点と

それを『DA』と比較してどう感じるかなど。今さらですがネタバレ注意です。

あと無駄に文量多いです。ひとまず全部吐き出します。

 

■宿代が高い

国境監視団宿営地1000G→メルヴェ1500G→ヴェルンワース2000G。

高いか安いかで言えば高いとは思いましたが、特に不満とまではいかず。

道中の採取ポイントからも頻繁に150Gなど入手できていたので

寄り道しながらたまに宿泊する分には困らなかったんですよね。

ちなみに『DA』では、カサディス50G→宿営地300G→グラン・ソレン500G。

こちらは気軽に泊まれていいですね。

『2』には野営がありますし、そっちのインセンティブを高めることが

高め設定の狙いだったのかなと思ったりしました。

結局はゲーム側が折れて自室入手のタイミング早めちゃいましたけど。

 

■刹那の飛石が高い

ファストトラベルに頼らせすぎないバランスを目指したのであれば

店売り価格自体は高額でもいいのかなと思います。

数は多くないですが、クエスト報酬や宝箱からも手に入りますし

エストやイベントの数、内容と照らし合わせても理不尽とまではいきません。

『DA』で実装された刹那の無限石が『2』にないことがよく指摘されますが

アレはあくまで『無印』の環境にとっては無いと困るレベルだから登場したもの

という視点はもっと共有されてもいいんじゃないかと思います。

掲示板クエストや護衛クエスト、期間限定で発生するイベントなど

『無印』と『DA』には時限要素がとにかく多いです。短期間での移動頻度が高い。

それゆえに求められ実装されたアイテムですよね。

導入のされ方も、領都に着けば勝手に倉庫に入っているというシンプルさです。

移動の不便に対するアンサーとしてはちょっと雑というか、元の想定が甘かった。

実際、過去の自分は知らぬ間の取り逃しが嫌になって後半駆け抜けてしまってます。

でも『2』はそうでもないので、どうしてもの時だけ飛石買えばいいやで済みました。

中盤以降の入手を前提として何かしらのご褒美に据えるならアリくらいでしょうか。

探究心の証の報酬なんかにあればよかったのかもしれません。

 

■セーブ仕様の説明が不十分

チェックポイント+オート&手動セーブ制なのは『無印』からの伝統なので

ゲームコンセプトへの理解さえできるなら特に問題とは思いません。

ロードメニュー挟んで各セーブタイミングの日時とサムネイルくらいは

確認できる仕様でもよかったかもしれませんね。まぁ、一見さんに不親切ではある。

異なるキャラクターのセーブデータを別々に保存できないのは

ポーンの貸し借りなどへの影響を考えると仕方がないのかなとは思います。

ただし、加護なき世界突入時の仕様に関してはもっと手厚く説明すべきかと。

初回死亡で鼓動を渋ってかなり巻き戻される人もいたみたいです。

 

■マップが広いのに移動が不便

戻りの礎が少ない、刹那の無限石がない、牛車すぐ壊される問題など。

礎に関しては各拠点に備え付けてほしかったですね。なぜバクバタルにまでないのか。

ただ、無限石に関しては必須とは思いませんでした。理由は上にも書いた通り。

『2』は『無印』や『DA』に比べるとクエスト発生期間等の制約はかなり少ないです。

じっくり探索しながら世界を回っていればだいたい報われる設計だと思います。

各拠点やNPC宅への後日再訪を促すようなタスクもよく出てくるので

自然なかたちで後返りのきっかけが生まれますし、見逃しが起きにくいと感じました。

ついでに寄り道、ついでにマッピングという具合に移動を楽しめる身としては

マイペースに楽しむことが許されているというだけでストレスは少ないですね。

牛車については、壊れやすいのはまぁいいんですけど頻度が高すぎるかな。

あと、運行ルートが少ないのも勿体なかったなと思ってます。

エスト進行に合わせて開拓されてってもいいのに。聖樹の里が鎖国緩和するとか。

 

■肉しか焼けない

魚や果物がアイテムとして複数出てくるのに調理食材にならないという話。

うーん、これは真っ先にコストカットされる部分だろうし仕方ないんじゃないかな。

CGにせよ実写ムービーにせよ数を用意してもらったところで

結局は効果の良いものばかりが選ばれてしまうのは容易に想像がつきます。

 

■ロスゲージいらない

被ダメージが重なると回復できる体力上限値が一時的に減ってしまうルール。

『DA』にも似たようなものがありますが、そちらはアイテムで回復が可能。

『2』は後半アイテム余りまくるので同じ仕様でもよかったかもしれませんね。

宿屋利用や野営を促すための制約なのかもですが。

 

お手玉でハメられる

ダウン時や吹き飛ばしされモーション時に無敵時間がなく

攻撃を重ねられると何もできなくなることがあります。それなりに理不尽。

『DA』でも、つい先日スケルトンメイジ複数体からの呪文で

延々と床を舐めさせられるシーンを体験しました(蒼月塔)。

たまには大味なのもいいですけど、もう少し手心は加えてほしいかも。

 

■遺跡や砦などのダンジョンらしいダンジョンがない

コピペでこそないですが、確かに似た雰囲気の小さな洞窟ばかりではあります。

そんな中、序盤の難所こと滝裏の洞窟は入り組んでて楽しかったですし

竜喰塔やドラブニル大石窟も印象に残るダンジョンでした。

『DA』はロード挟みますし少数精鋭なのもあってひとつひとつが広めなんですよね。

『2』はフィールドそれ自体がダンジョンみたいなところもあるので

どっちがどうという不満はないです。それぞれに良さがあります。

 

■倉庫の使い勝手が悪い

おそらくは最も話題に上がりがちな問題。

アイテム倉庫からの装備変更不可、直接売却不可、一部アイテムを除いて

保管上限が99個までしかない、上限を超過するアイテムを含むと

複数種選択しての預け入れが一括で弾かれるなどなど不便な仕様が多いです。

『DA』でできていたことを廃止する理由はわからないですね。

ただ、装備品に関しては『DA』だと転職のたびにすべて外されてしまう仕様なので

手持ちに入れてさえいればジョブごとに記憶してくれる『2』の方が

便利とまでは言わないけどマシではあります。現行のドラクエもそんな感じですし。

ただし、上限超過の弾き方はダメ。これでいいと思ったセンスが謎すぎる。

まとめて弾かれるだけじゃなく、保管上限までの差分すら通さないのは頭悪いです。

 

NPC関連があっさりしすぎている

固有の会話テキストが少なかったり、クエストの関与範囲から外れた途端に

汎用セリフしかしゃべらないアホの子になったりする件。

総勢1000を超えるNPCそれぞれに好感度があるという触れ込みがピークだった感。

『DA』にも時限会話が済んだ直後に態度が急変する兵士なんかはいますが

それでも、個々のキャラ立ちはバリエーションがあるように思えますね。

丁寧さという意味ではどうしても『DA』の方が好みになっちゃいます。

生活感のあるモーションがあちこち設定されているのも感心させられるところ。

フィオラネとか強烈なのがいるのは面白いんですけど、ねえ。

 

■ポーンの問題点色々

アップデートで頻度下がりはしましたが、やたらと梯子に言及する謎挙動。

口調や行動指針を変更できた「語らいの肘掛」の廃止など。

同じ場所を通るたびに同じ話をするということなら

むしろ『DA』の方がしつこかったりはしますよ。領都の階段とか武具屋とか。

でもそういうもんだと思って遊ぶ分には目くじら立てるほどのことではないです。

肘掛に関しては、個人的にはない方がのびのびできて好みですね。

『DA』のポーンAIはカスタム性が高くてこれはこれで面白いのですが

育成の途上にあってはプレイヤーの行動が反映されすぎて管理が難しい面もあります。

COME指示使いすぎるとあまり積極的に攻撃してくれなくなったりとか。

そういう煩わしさから解放されたという点では『2』の潔さもアリかと。

イスパターンにピッチ以外の幅がないのは素直に残念です。ここは『DA』のが好き。

 

■高好感度の表現がキモい

好感度が一定以上まで上がるとやたら頬を染める…のを通り越して赤ら顔になる人々。

不自然なまでに上がりすぎる口角。唐突に自宅前待機をかましてくる面々。

ちょっとやりぎかなとは感じました。『DA』くらいがちょうどいいですねこれは。

でも、メインポーンだけはこんなんでも可愛く見えちゃうんですよね。ずるい。

 

■登場モンスターの種類が少ない

あくまで『DA』との比較を前提に言われてることですよね。

ハイドラやコカトリスがいないのは肩透かしかもしれませんが

完全新規のデュラハンや、『無印』時点では登場しなかったモンスターも出てるんで

『2』が特別少ないとまでは思えませんでした。必要十分はいるんじゃないかな。

今後DLCが一切なければそこで初めてボリューム減と言えるんじゃないでしょうか。

たぶん何かしらありますよね。本編に伏線らしき会話チラホラありますし

ロード画面のTipsや購入者アンケートでも匂わせみたいな項目ありましたし。

 

■ストーリーが説明不足で意味不明

前半の王位継承問題や、打倒偽覚者→神凪の声の秘密を探るあたりまでは

新規の方も引き込めるようなファンタジーしてたんですけどね。

後半、海底神殿到達からの流れが一気にメタ視点色が濃くなっていって

悪い意味で前作ありきな描き方になってしまったように思います。

「魂魄の剣」として登場したキーアイテムが何の説明もなく

リディル」名義でクエストログに表示されたり、使うと自害しようとする理由など

『2』から始めた人にとっては色々飛ばしすぎな部分が多かった。

前作の再解釈ともとれる部分があったり、世界設定それ自体は魅力的なんですが。

単体の作品として分かりやすいのはやっぱり『DA』の方ですね。

ただ、個人的に『2』の真エンディングの語りはとても心に響きました。

ドラゴンやポーンだけでなく導き手さえも、そのルーツは虚無であるという結末。

最後の嘆きは、なんだかメインポーンから覚者へ向けた言葉にもとれてしまって…

だからこそ周回プレイ時に「やっぱりこの世界が好きなんですね」と

喜んで声をかけてくれるのが愛おしく感じてしまう。自分は好きです『2』の物語。

 

■ジョブ関連

スキルスロットがトータルで減少しました。『DA』では武器ごとに3つずつ。

『2』ではジョブごとに4つまでというまとめ方になっています。

各ジョブの装備可能武器種も限定されてしまったので

戦い方の幅が狭まったという意味で、これまた批判を集めている変更点ではあります。

でも自分はそこまで気にならなかったんですよね。シンプルなのも好きなので。

一方で、個人的にちょっと許せないのは上級職のマスタースキル取得条件。

関連NPCの好感度が一定以上まで上昇すればもらえるということになっているので

特に後半、クエストを通して解放されるジョブに関しては

エストクリアによる好感度上昇分だけでその条件を満たしてしまい

早い話が出会ったその場で免許皆伝になってしまいます。なんやねんそれ。

ジョブランク一定以上到達で専用のクエストが解禁されてそれをこなすことで

はじめてマスタースキルが手に入る…くらいの達成感はあって然るべきでしょう。

 

■装備品関連

装備可能部位の減少、強化様式がドワーヴェン一択、ミューテーション廃止など。

おしゃれ要素の幅が大きく狭まってしまったのは確かに残念。

とはいえ『DA』では一式装備にお世話になっているのでプレイ感はあまり変わらず。

竜強化については、結晶さえ集めれば解決する『2』のシンプルさは好きです。

 

■エンドコンテンツの不在

黒呪島相当の高難度コンテンツがないから底が浅いという声がありますが

それはその人の求めているものがバトル寄りか探索寄りかによるんじゃないかな。

自分は、ひたすら戦うよりは起伏に富んだ見知らぬ土地を彷徨うのが好き。

そしてそっちの欲はしっかり満たしてもらえたので特に物足りなさは感じません。

ただ、ずっと繰り返し遊べる内容とまでいかないのは事実。

探究心の証集めは終盤ほとんど趣味の領域ですし

育成関連もレベルで解決するようになったことで、やり込む必要がなくなりました。

現状だと適度にやめどきのあるゲームなんですよね。良くも悪くも。

 

■竜憑き問題

「街中のNPCを丸ごと死なせてしまう時限爆弾」として

そのセンセーショナルなエピソードだけが取り沙汰されたせいで

必要以上に炎上してしまった印象。実際は滅多に発症するものではなかったです。

というのも、リムストーンを介してポーンを雇い入れるたび

竜憑きの存在を仄めかす会話が梯子なんか目じゃないくらい何度も披露されますし

パーティの誰かに潜伏感染したタイミング(?)でチュートリアルも表示されます。

その中で「治癒するには他のポーンにうつすかロストさせるしかない」とまであり。

何も知らされないまま理不尽に面白くない仕打ちを受けるわけじゃないんです。

予備知識があれば面白いのかと言われたらそれはまた別問題ですが。

どうやったら他のポーンにパスすることができるのかということについては

それなりに野営をしていれば自然にポーンたちの変化に気づけるようになってるんで

そういう意味でも宿代とか時間のかかる移動とかで誘導はしてるんですよね。

声の大きい人や買って遊んでもいない外野のせいで無駄に緩和されてしまい

実績の獲得難易度が上がってしまったのは残念です。面白いかどうかは別ですけど。

 

 

 

 

という感じで、頭に浮かんできたことをよく精査もせずに書きなぐってみました。

ここまで読んでいただいた方は、ありがとうございます。お疲れ様でした。

 

『2』には『2』の、『DA』には『DA』の良さがあります。逆もまた然り。

元々、万人受けするようなタイトルではなかったはずなんですが

10年以上の時を経たことで、いつの間にかハードルが上がりすぎてしまったような。

ゲーム選びにあっても時短とかタイパとかが重要視されるこの令和の世に

かくも冗長で面倒くさいゲームが大手メーカーから発売される。いいじゃないですか。

何でもかんでもプレイヤーに親切でなくたっていいんです。

たまにはちょっと突き放し気味の荒削りなファンタジーがあったっていい。

自分はそういう付き合い方ができて心地よいです。ドラゴンズドグマに栄光あれ。

 

それにしても、カンニングしながら遊ぶ『DA』楽しいですね。

『無印』当時にスルーしてしまったサブクエストの数々に感激しっぱなしです。